臼杵の食文化
「食文化創造都市 臼杵」の確立を目指して
発酵・醸造と質素倹約、循環型の食文化
臼杵市は、地質と地形に恵まれ、きめ細やかで、まろやかな柔らかい水に恵まれています。
この水が重要となる醸造業が1600年頃から始まり、人々が伝統を守りつつ、改良を加えてきた味噌・醤油・酒造りや、質素倹約の中で知恵を絞って生まれた郷土料理など、多様な食文化が発展してきました。
近年では、こうした市民が大切に培ってきた食文化に加え、有機農業や地産地消も推進しています。例えば、日本で唯一、市が草木等を主原料とした完熟堆肥を生産し、生命力のある土づくり環境を整備することで、生産者、消費者ともに食の重要性について理解を深めています。
食の多様性・持続性を高めるこうした臼杵の活動は、SDGsの目標と合致し、持続可能な都市づくりにつながるものと考えています。
醸造、発酵産業と質素倹約、環境保全型農業・水産業の文化を中心とした臼杵市のブランド力を高め、これまでの取組を更に推進し、国際協力と経済成長の両面から食文化の発展に貢献するため、私たち臼杵市は食文化創造都市の確立を目指します。
臼杵の発酵醸造業
みそ、しょうゆ
西暦1600年に美濃国(岐阜県)から稲葉貞通が臼杵藩主に移封されたとき、御用商人としてやってきた可兒孫右衛門(カニ醬油の先祖)が味噌の醸造を始めたのが起源と言われています。
臼杵の質的・味覚的に最上位にランクされる水は、醸造業を発達させ、歴代の藩主によって保護育成され、地元に愛され、臼杵の主要産業となりました。
日本酒、焼酎
臼杵の酒造会社はそれぞれが、地元原材料を使用したお酒を製造し、多くが日本酒と焼酎の両方を作るという特徴を持っています。毎年合同で蔵開きイベントを開催したりするなど、酒造文化の醸成に向けて活発に活動しています。
臼杵の質素倹約の文化
臼杵市には古くから続く郷土料理が多く残っています。江戸時代に全国で起きた「天保の大飢饉」では、藩が独自に倹約令「天保の改革」を発令しました。そうした中にあっても、臼杵の人々は、心まで貧しくなることはなく、知恵を絞り、質素倹約の精神の中、様々な郷土料理を生みました。
黄飯
くちなしの実を水に浸し、その黄色に染まった水で炊いたご飯です。「かやく」と呼ばれる白身魚や野菜、豆腐などを炒めて煮込んだ「けんちん汁」のようなものと一対でいただきます。黄色く炊いたご飯は、質素倹約な生活の中、贅沢な赤飯の代わりの祝いの飯として作られたのが起源と言われています。また、戦国時代に到来したパエリアを模したとも言われています。
きらすまめし
残り物の刺身や魚をおろしたあとの中落ちに、豆腐の製造過程で出るおからをまぶしてかさ増しをした倹約料理です。古くから家庭料理として親しまれており、現在では飲食店やスーパーの総菜コーナーでも常に見かける郷土料理です。
臼杵の循環型食文化
臼杵市土づくりセンター
臼杵市は、土づくりを基本とした環境保全型農業・有機農業を強く推進していくため、腐葉土に近い完熟堆肥を製造する「臼杵市土づくりセンター」を設置しています。行政機関が運営する土づくりを目的とした堆肥製造施設は全国的にも稀で、国内外から多くの視察者が訪れています。
うすき夢堆肥
「臼杵市土づくりセンター」では、草木類(8割)を主原料とし、豚糞(2割)を混ぜ、日々撹拌することで発酵を促し、6ヶ月をかけて土づくりに最適な完熟堆肥「うすき夢堆肥」を作っています。土壌成分のバランスを良くし、微生物の働きが活発になる腐葉土に近い堆肥です。年間1,600t~1,800tを安定的に生産し、農家や市民へ供給することで、市内の土壌改良を進めています。
ほんまもん農産物
「うすき夢堆肥」などの完熟堆肥で土づくりした畑で、栽培期間中に化学肥料や化学合成農薬などが使われていないことが確認できた圃場を市長が認証しています。野菜本来の味がする農産物です。
臼杵スタイルの循環型社会の完成を目指して
臼杵市は、地域住民や事業者と協調して、水源涵養や有機農業、海洋環境保全を推進し、循環型社会の形成を図ります。森林から田畑を経て海洋に至る取組は、水資源の好循環をもたらし、良質な水や地元産食材を原材料とする発酵食品産業の成長を支えています。地元産食材は、地元飲食店や各家庭、学校給食で使用され、地産地消を通じて食文化の持続可能性を高めるとともに、国内外から人々を誘客する観光コンテンツとして機能しています。
こうしたスタイルは、SDGsに貢献するものと考えています。